塩対応だった旦那様が記憶喪失になったら、執着溺愛して離してくれなくなりました
大きなため息をつくと、セヴランはぐいっと顔を近づけてくる。それが不快で、ラシェルは思わず軽く身を引いた。
「侯爵は、おまえを金で買った。そんなやつと一緒にいて、おまえは幸せになれると思ってるのか?」
「私は……」
「表面上はどんなに優しくしたって、そんなものはおまえを繋ぎとめるための嘘だ。ちょっと優しくしておけば、派閥に影響を与えない従順な妻が手に入るんだもんな」
「っ、それは」
セヴランの言葉が、ラシェルの胸に突き刺さる。そんなはずないと分かっているのに、実はレナルドは記憶を取り戻していて、『お飾りの妻』を失わないために優しく接してくれているのではという考えが、頭をよぎってしまった。
もしもレナルドの記憶が戻っていたなら、甘いキスをはじめとする親密な触れあいまですることはないはずなのだが、不安定な関係に縋っているラシェルの心は、どうしても揺らいでしまう。
何も言えなくなってしまったラシェルを守るように、うしろに控えていたコレットが前に進み出た。そして彼女は、毅然とした表情でセヴランと対峙する。
「恐れながら、我が主にそのような暴言を吐くのはおやめください。レナルド様は心の底からラシェル様を愛してらっしゃいますし、それはラシェル様だって同じこと。派閥のことなど、愛しあう二人を妬んだ者が流した噂にすぎませんわ」
「はぁ? 使用人風情が偉そうな口をきくんじゃねぇよ」
「侯爵は、おまえを金で買った。そんなやつと一緒にいて、おまえは幸せになれると思ってるのか?」
「私は……」
「表面上はどんなに優しくしたって、そんなものはおまえを繋ぎとめるための嘘だ。ちょっと優しくしておけば、派閥に影響を与えない従順な妻が手に入るんだもんな」
「っ、それは」
セヴランの言葉が、ラシェルの胸に突き刺さる。そんなはずないと分かっているのに、実はレナルドは記憶を取り戻していて、『お飾りの妻』を失わないために優しく接してくれているのではという考えが、頭をよぎってしまった。
もしもレナルドの記憶が戻っていたなら、甘いキスをはじめとする親密な触れあいまですることはないはずなのだが、不安定な関係に縋っているラシェルの心は、どうしても揺らいでしまう。
何も言えなくなってしまったラシェルを守るように、うしろに控えていたコレットが前に進み出た。そして彼女は、毅然とした表情でセヴランと対峙する。
「恐れながら、我が主にそのような暴言を吐くのはおやめください。レナルド様は心の底からラシェル様を愛してらっしゃいますし、それはラシェル様だって同じこと。派閥のことなど、愛しあう二人を妬んだ者が流した噂にすぎませんわ」
「はぁ? 使用人風情が偉そうな口をきくんじゃねぇよ」