塩対応だった旦那様が記憶喪失になったら、執着溺愛して離してくれなくなりました
にやにやと口元を緩ませた男がセヴランのそばに立つ。酒を飲んでいるのか、アルコールの臭いがぷんとして、ラシェルは思わず顔を背けた。
「予定が変わった。結婚してやってもいいと思ってたが、今は保留だな。ちゃんと躾け直さないと」
「ふうん。じゃあ、おれたちにも味見させてくれる?」
別の男が舌なめずりをしながらラシェルを見るのが分かって、おぞましさに身体が震える。
「いや、離して……っ」
逃げようと必死に腕を振りほどこうとするが、セヴランの手は揺るがない。それどころか、他の男が背後からラシェルの身体を押さえつけた。
「人に見られたら面倒だ、さっさと馬車に連れていけ」
「や……っ」
声をあげようとしたが、口元を覆われてしまう。まるで荷物のように抱えられたラシェルは、そのまま乱暴にそばの馬車の中へと放り投げられた。
痛みを堪えながら身体を起こそうとするものの、後ろ手に縛られて身動きが取れなくなる。口の中には布切れを突っ込まれて、くぐもった声しか出せない。
「侯爵家の奥様が、惨めなもんだな」
馬車の床に転がされたラシェルを蔑むような目で見下ろして笑うと、セヴランは馬車を出すように命じた。
地面から伝わる振動に身体を震わせながら、ラシェルは必死に頭を働かせる。どうしてこんなことになったのか分からないが、なんとか逃げなければ。だが突然、頭に感じた鋭い痛みのせいで思考が中断される。セヴランが、ラシェルの髪を掴んで頭を持ち上げたのだ。無理に首を上に向かされて、ラシェルは苦痛に顔を歪めた。
「おまえはもう、侯爵家には戻れない。どうせいなくなったって、あいつは新しいお飾りの妻を迎えるだけだ。用なしになるおまえを拾ってやるんだから、感謝しろよ」
何をするつもりだと訴えるが、言葉はくぐもった唸り声にしかならない。そんなラシェルを鼻で笑うと、セヴランは同乗している男の方へ顔を向ける。
「暴れられたら面倒だ、睡眠薬を出せ」
「いつもの媚薬じゃなくていいのか?」
「こいつは、おれのだ。おまえらには触らせないし、薬漬けにするのはまだ早い」
「残念。お貴族様とヤれるかと思ったのに」
肩をすくめて、男はそばの鞄から注射器を取り出してセヴランに渡した。
発言のおぞましさにラシェルは必死に首を振るが、身体を動かすことはできない。にやにやと笑ったセヴランがラシェルの髪を更に強く引っ張る。
首筋にちくりとした痛みを感じた瞬間、ラシェルの意識は闇にのまれた。
「予定が変わった。結婚してやってもいいと思ってたが、今は保留だな。ちゃんと躾け直さないと」
「ふうん。じゃあ、おれたちにも味見させてくれる?」
別の男が舌なめずりをしながらラシェルを見るのが分かって、おぞましさに身体が震える。
「いや、離して……っ」
逃げようと必死に腕を振りほどこうとするが、セヴランの手は揺るがない。それどころか、他の男が背後からラシェルの身体を押さえつけた。
「人に見られたら面倒だ、さっさと馬車に連れていけ」
「や……っ」
声をあげようとしたが、口元を覆われてしまう。まるで荷物のように抱えられたラシェルは、そのまま乱暴にそばの馬車の中へと放り投げられた。
痛みを堪えながら身体を起こそうとするものの、後ろ手に縛られて身動きが取れなくなる。口の中には布切れを突っ込まれて、くぐもった声しか出せない。
「侯爵家の奥様が、惨めなもんだな」
馬車の床に転がされたラシェルを蔑むような目で見下ろして笑うと、セヴランは馬車を出すように命じた。
地面から伝わる振動に身体を震わせながら、ラシェルは必死に頭を働かせる。どうしてこんなことになったのか分からないが、なんとか逃げなければ。だが突然、頭に感じた鋭い痛みのせいで思考が中断される。セヴランが、ラシェルの髪を掴んで頭を持ち上げたのだ。無理に首を上に向かされて、ラシェルは苦痛に顔を歪めた。
「おまえはもう、侯爵家には戻れない。どうせいなくなったって、あいつは新しいお飾りの妻を迎えるだけだ。用なしになるおまえを拾ってやるんだから、感謝しろよ」
何をするつもりだと訴えるが、言葉はくぐもった唸り声にしかならない。そんなラシェルを鼻で笑うと、セヴランは同乗している男の方へ顔を向ける。
「暴れられたら面倒だ、睡眠薬を出せ」
「いつもの媚薬じゃなくていいのか?」
「こいつは、おれのだ。おまえらには触らせないし、薬漬けにするのはまだ早い」
「残念。お貴族様とヤれるかと思ったのに」
肩をすくめて、男はそばの鞄から注射器を取り出してセヴランに渡した。
発言のおぞましさにラシェルは必死に首を振るが、身体を動かすことはできない。にやにやと笑ったセヴランがラシェルの髪を更に強く引っ張る。
首筋にちくりとした痛みを感じた瞬間、ラシェルの意識は闇にのまれた。