塩対応だった旦那様が記憶喪失になったら、執着溺愛して離してくれなくなりました
「政略結婚で結ばれた二人が愛しあうようになるのは、小説でもよくあるじゃないですか。わたし、そういう恋愛小説を読むのが大好きなんです。きっとレナルド様とラシェル様も、いい夫婦になりますよ」

「えぇ、そうね」

 穏やかに返事をしながら、ラシェルは内心で苦笑していた。どうやらコレットは恋愛小説と同じことが現実にも起きると思っているらしい。ラシェルだって甘い恋のお話を好んで読んでいるが、自分が本の中と同じように愛されるとは思っていない。レナルドがラシェルを愛する未来など、来るはずがないのだから。

 ちくりと胸が痛むのを紅茶を飲むことでやりすごし、ラシェルは意識して笑顔を浮かべた。



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