塩対応だった旦那様が記憶喪失になったら、執着溺愛して離してくれなくなりました
「そうか。きっと無理をさせた。ゆっくり休んでくれ」

「はい。ありがとうございます」

 ラシェルが礼を言うと、レナルドはあっという間に部屋を出て行ってしまった。寒気を感じたラシェルは、小さく肩を震わせると毛布を手繰り寄せて身体に巻きつけた。

 本当なら身体を清めたり乱れたシーツを綺麗にしたほうがいいのだろうが、もう動くことも億劫だ。

 さっきまで二人でいたはずのベッドは、一人になると広さが際立って寒々しい。

「レナルド様は、戻って来られるのかしら……」

 彼の消えた扉を見つめるが、なんとなくレナルドはもう戻ってこないような気がした。レナルドはラシェルを確かに抱いたし、初夜は滞りなく終了したということなのだろう。

「想いが伴わない行為って、こんなにもむなしいものなのね」

 そうつぶやくと、ベッドの端で身体を縮め、ラシェルは目を閉じた。
 
 
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