塩対応だった旦那様が記憶喪失になったら、執着溺愛して離してくれなくなりました
「こんなにもラシェル様に気に入ってもらえたら、レナルド様もきっとお喜びでしょうねぇ」
「え?」
お茶の準備をしながら楽しそうにそんなことを言うコレットに、ラシェルは戸惑って目を瞬いた。レナルドが喜ぶとは、どういう意味だろうか。
少し考えて、余計な社交などせず引きこもっていることを褒められているのだろうと結論づける。
「そうね。毎日おいしいお食事をいただけて、こんな素敵なお部屋も使わせてもらえて、本当に幸せよ。何もお役に立っていないことが申し訳ない気はするけど、私はここでおとなしくしていることが一番の仕事だものね」
「お役に立っていないどころか、ラシェル様はヴァンタール家の救世主ですよ」
「ふふ、大げさね。でも確かに、国内の派閥に影響を与えなくてすんだのはいいことだものね」
王弟派と、由緒ある公爵派で勢力争いをする中、レナルドがどちらとも適切な距離を保つためにラシェルへ声をかけてきたことはよく分かっている。レナルドは、ブラン男爵家の借金を肩代わりしてでも争いごとから距離を置きたかったに違いない。
「ラシェル様は、そんな理由で求婚されたことを不満に思ったりしないのですか?」
コレットの問いに、ラシェルは小さく笑った。恋愛小説が好きな彼女は、愛しあう者同士の結婚を理想としているのだろう。だが貴族の結婚に愛は必須でないことを、ラシェルはよく知っている。昨今は貴族であっても恋愛結婚をする者が増えているとは聞くが、それでもまだまだ少数派なのだ。
「レナルド様はとてもよくしてくださっているし、私の実家への援助までしてくださるのよ。不満なんて、あるはずないわ」
――だから、これ以上を望んではならないのよ。
心の中でそうつぶやいて、ラシェルは意識して笑みを浮かべた。
「え?」
お茶の準備をしながら楽しそうにそんなことを言うコレットに、ラシェルは戸惑って目を瞬いた。レナルドが喜ぶとは、どういう意味だろうか。
少し考えて、余計な社交などせず引きこもっていることを褒められているのだろうと結論づける。
「そうね。毎日おいしいお食事をいただけて、こんな素敵なお部屋も使わせてもらえて、本当に幸せよ。何もお役に立っていないことが申し訳ない気はするけど、私はここでおとなしくしていることが一番の仕事だものね」
「お役に立っていないどころか、ラシェル様はヴァンタール家の救世主ですよ」
「ふふ、大げさね。でも確かに、国内の派閥に影響を与えなくてすんだのはいいことだものね」
王弟派と、由緒ある公爵派で勢力争いをする中、レナルドがどちらとも適切な距離を保つためにラシェルへ声をかけてきたことはよく分かっている。レナルドは、ブラン男爵家の借金を肩代わりしてでも争いごとから距離を置きたかったに違いない。
「ラシェル様は、そんな理由で求婚されたことを不満に思ったりしないのですか?」
コレットの問いに、ラシェルは小さく笑った。恋愛小説が好きな彼女は、愛しあう者同士の結婚を理想としているのだろう。だが貴族の結婚に愛は必須でないことを、ラシェルはよく知っている。昨今は貴族であっても恋愛結婚をする者が増えているとは聞くが、それでもまだまだ少数派なのだ。
「レナルド様はとてもよくしてくださっているし、私の実家への援助までしてくださるのよ。不満なんて、あるはずないわ」
――だから、これ以上を望んではならないのよ。
心の中でそうつぶやいて、ラシェルは意識して笑みを浮かべた。