塩対応だった旦那様が記憶喪失になったら、執着溺愛して離してくれなくなりました
「いや、いいんだ。これは大事なことだから、俺がちゃんと自分で思い出したい。きみにどうやってプロポーズしたかを忘れたままなんて、申し訳ないからな」
少し照れたような表情でそう言うレナルドは、ラシェルとの仲を疑ってもいないのだろう。さすがに黙っていられなくて、ラシェルはごくりと唾を飲み込んだあと口を開いた。
「この結婚は……、我が家が膨大な借金を抱えて金銭的に困窮していたことを知ったレナルド様が、援助を申し出てくださったことがきっかけです。政治に縁のないブラン男爵家となら、国内の派閥に影響がないからと」
――だから、仲睦まじい夫婦だったなんて、嘘。
心の中でそうつぶやいて、ラシェルはレナルドを見つめる。結婚の理由を知ったら、もうこんな優しい表情を向けてもらえなくなるだろう。だけどやっぱり、嘘をつき通すことはできなかった。
だが、ラシェルの説明を聞いてもレナルドの表情は変わらない。むしろ愛おしげに目を細められて、ラシェルは戸惑う。
「そうだったのか。きみの家が困っているところを、助けることができてよかった」
「え……?」
「すまない、話を聞いてもやっぱり全く思い出せないんだが、好きな人が困ってるのを見て、放っておけるはずないだろう。過去の俺の行いに拍手を送りたいな」
さらりと『好きな人』と言われて、どうしようもなく胸が締めつけられた。
彼が本当にラシェルを好きなはずないのに、その言葉に縋りたくなる。
もっとちゃんと訂正しなければと心の中では思っているのに、また言葉が出なくなってしまった。
そんなラシェルに気づく様子もなく、レナルドは一人で納得したようにうなずいている。
少し照れたような表情でそう言うレナルドは、ラシェルとの仲を疑ってもいないのだろう。さすがに黙っていられなくて、ラシェルはごくりと唾を飲み込んだあと口を開いた。
「この結婚は……、我が家が膨大な借金を抱えて金銭的に困窮していたことを知ったレナルド様が、援助を申し出てくださったことがきっかけです。政治に縁のないブラン男爵家となら、国内の派閥に影響がないからと」
――だから、仲睦まじい夫婦だったなんて、嘘。
心の中でそうつぶやいて、ラシェルはレナルドを見つめる。結婚の理由を知ったら、もうこんな優しい表情を向けてもらえなくなるだろう。だけどやっぱり、嘘をつき通すことはできなかった。
だが、ラシェルの説明を聞いてもレナルドの表情は変わらない。むしろ愛おしげに目を細められて、ラシェルは戸惑う。
「そうだったのか。きみの家が困っているところを、助けることができてよかった」
「え……?」
「すまない、話を聞いてもやっぱり全く思い出せないんだが、好きな人が困ってるのを見て、放っておけるはずないだろう。過去の俺の行いに拍手を送りたいな」
さらりと『好きな人』と言われて、どうしようもなく胸が締めつけられた。
彼が本当にラシェルを好きなはずないのに、その言葉に縋りたくなる。
もっとちゃんと訂正しなければと心の中では思っているのに、また言葉が出なくなってしまった。
そんなラシェルに気づく様子もなく、レナルドは一人で納得したようにうなずいている。