塩対応だった旦那様が記憶喪失になったら、執着溺愛して離してくれなくなりました
「王家の方々主催のものはありませんので、欠席してもさほど問題はないかと。奥様もご一緒にとの誘いがほとんどですし、恐らくレナルド様がご結婚されたことを知って、その詳細を聞きたいというものが大半でしょうから」

 クレマンの言葉に、レナルドは深くうなずく。

「そうだよな。俺のこともあるが、それ以上にラシェルを誰にも見せたくないんだよ。だって着飾った姿は、絶対に今以上に可愛いだろう? 他の男が見惚れるところを想像しただけで腹が立って仕方ない。ラシェルのことは、俺だけのものにしておきたい」

 あまりに独占欲と執着心を感じさせる言葉に、ラシェルは思わず食事の手を止めてしまった。信じられないという気持ちで見つめるが、レナルドは当然のことといった顔をしている。そしてクレマンも、表情ひとつ変えることなくそれを受け止めているようだ。

「では、お断りの返事を出しておきましょう。ですが、せっかくですから夜会用のドレスを新しく仕立てるのはいかがですか? レナルド様の瞳の色である、明るい緑のドレスなど、とてもお似合いになるかと思うのですが」

 クレマンの提案に、レナルドは目を輝かせた。

「さすがクレマンだな。早速仕立て屋を手配してくれ。アクセサリーも頼む」

「承知しました」

 ラシェルが口を挟む間もなく、話が決まってしまった。結婚してからすでに数着のドレスを仕立ててもらっているし、夜会用のものまでもう一着というのはさすがに申し訳ない。実家の男爵家とは違って裕福であることは分かっているのだが、ラシェルはあまり贅沢に慣れていない。

「あの……ドレスはすでにいくつも仕立ててもらいましたし、そんなにお金を使っていただかなくても……」

「ラシェルは、俺の色のドレスが嫌?」
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