塩対応だった旦那様が記憶喪失になったら、執着溺愛して離してくれなくなりました
 レナルドは、二人が何度も甘い夜を過ごしたと思っているだろう。もしも今夜ラシェルが抱かれて、二人の関係が嘘だとバレてしまったらどうすればいいのか。

 言葉に詰まるラシェルの頭を、レナルドは優しく撫でた。

「大丈夫。ラシェルの嫌がることはしないし、大事にするから」

「……っ」

 まだうなずくことのできないラシェルに、レナルドは柔らかなキスを落とした。

「これは俺の我儘なんだけど。俺は、過去の自分に嫉妬してるんだ。だから、今の俺でラシェルの記憶を上書きしたい」

「……分かりました」

 仲睦まじい夫婦だと彼は思い込んでいるのだから、これ以上断り続けるのは変だろう。初夜だって痛みを堪えられたのだから、きっと今夜も大丈夫だ。それに初めては痛いと聞くけれど、二度目が痛いとは聞かないから、案外平気かもしれない。

 心の中で覚悟を決めて、ラシェルはレナルドの背に手を回した。
 
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