元彼が職場の後輩に!?
午後、企画会議があった。
編集長の藤堂さんを中心に、次号の特集内容を詰める。私は美容ページの担当なので、スキンケア特集の企画案を出す予定だった。
「じゃあ、結城さんから」
藤堂さんに促され、企画書を配る。
「夏に向けたスキンケア特集です。今年はミニマルケアがトレンドなので、『引き算のスキンケア』をテーマに……」
説明を始めた、その時だった。
「それ、ちょっと弱くないですか」
声の主は、朝倉だった。
会議室が静まる。新人が、いきなり先輩の企画にケチをつけた。そんな空気が流れた。
「……どういう意味?」
「ミニマルケアは確かにトレンドですけど、もう半年以上前から言われてることですよね。今さら感がある」
カチンときた。
編集未経験のくせに、何を言っているんだ。
「トレンドを押さえるのは基本でしょ。読者が求めているものを提供するのが、雑誌の役割なんだから」
「でも、読者が求めているものって、本当にそれですか?」
朝倉が真っ直ぐに私を見る。
反論されることに慣れていない私は、一瞬言葉に詰まった。
「ミニマルケアって、要は『手を抜いてもいい』っていうメッセージですよね。でも、本当にそれを求めてる人って、どれくらいいるんでしょう。忙しくてケアできない自分を正当化したいだけじゃないですか」
会議室が静まり返る。
藤堂さんが、興味深そうに朝倉を見ていた。
「朝倉くん、対案は?」
「逆張りです。『手をかける贅沢』をテーマにしたらどうでしょう。忙しい毎日だからこそ、夜の十五分は自分のために使う。そういうメッセージの方が、刺さる層がいると思います」
悔しいけれど、筋は通っていた。
ミニマルケアの逆を行く。その発想自体は悪くない。営業企画にいたからこそ、読者心理を違う角度から見られるのかもしれない。
「面白いね」
藤堂さんが頷く。
「結城さん、どう思う?」
「……一理あると思います」
それが、精一杯の答えだった。
朝倉と目が合う。彼は何も言わず、軽く頷いただけだった。
編集長の藤堂さんを中心に、次号の特集内容を詰める。私は美容ページの担当なので、スキンケア特集の企画案を出す予定だった。
「じゃあ、結城さんから」
藤堂さんに促され、企画書を配る。
「夏に向けたスキンケア特集です。今年はミニマルケアがトレンドなので、『引き算のスキンケア』をテーマに……」
説明を始めた、その時だった。
「それ、ちょっと弱くないですか」
声の主は、朝倉だった。
会議室が静まる。新人が、いきなり先輩の企画にケチをつけた。そんな空気が流れた。
「……どういう意味?」
「ミニマルケアは確かにトレンドですけど、もう半年以上前から言われてることですよね。今さら感がある」
カチンときた。
編集未経験のくせに、何を言っているんだ。
「トレンドを押さえるのは基本でしょ。読者が求めているものを提供するのが、雑誌の役割なんだから」
「でも、読者が求めているものって、本当にそれですか?」
朝倉が真っ直ぐに私を見る。
反論されることに慣れていない私は、一瞬言葉に詰まった。
「ミニマルケアって、要は『手を抜いてもいい』っていうメッセージですよね。でも、本当にそれを求めてる人って、どれくらいいるんでしょう。忙しくてケアできない自分を正当化したいだけじゃないですか」
会議室が静まり返る。
藤堂さんが、興味深そうに朝倉を見ていた。
「朝倉くん、対案は?」
「逆張りです。『手をかける贅沢』をテーマにしたらどうでしょう。忙しい毎日だからこそ、夜の十五分は自分のために使う。そういうメッセージの方が、刺さる層がいると思います」
悔しいけれど、筋は通っていた。
ミニマルケアの逆を行く。その発想自体は悪くない。営業企画にいたからこそ、読者心理を違う角度から見られるのかもしれない。
「面白いね」
藤堂さんが頷く。
「結城さん、どう思う?」
「……一理あると思います」
それが、精一杯の答えだった。
朝倉と目が合う。彼は何も言わず、軽く頷いただけだった。