イケメン刑事(デカ)は ちょい悪美女を囲い込む
結花は料理教室に通うことはしなかったが、料理は好きだった。

ネットでレシピを調べて色々な物を作った。

また節約料理も自分で考えた。贅沢はするつもりはないが、なるべく支出は減らしたかった。

でも食事を抜くことはできないし、不規則な生活で病気にでもなったら看病してくれる人もいないのだ。

毎食、贅沢はしないがバランスの取れた食事を心がけた。

野菜の皮や本来なら捨てるような所も食べれるなら捨てずに食べられる方法を考えたり、安い食材で美味しく料理を作る工夫をした。

美味しく作れると、お爺さんを訪ねた時に作ってあげて美味しい美味しいと言って食べてくれるのが嬉しかった。

結花もいつも一人で食べているので、お爺さんと二人で食べる食事は楽しくほっとするひと時だった。

結花には友達と言える人はいないし親友もいない。勿論家族もいないのだ。

ただお爺さんだけが結花の親友でたった一人の家族のような存在だった。

お爺さんがいたから、少年院を出て独り暮らしを始めた時もそして大学を卒業して自分の望む仕事を得るために頑張ってこられたのだと思っている。

どんな時も弱音を吐いても、”大丈夫、大丈夫結花ちゃんならきっとやれるよ”と言って励ましてくれた。

お爺さんに大丈夫と言われると本当に大丈夫だと思えるのだった。

少年院を出た後しばらくして徹が接触してきたが、結花はもう彼らと会うつもりもなかった。

「二度と顔を見せに来ないで、話もしたくない。もしそれを破ればあんた達の事警察に言うからね。今だに警察の担当者は時々訪ねてくるのよ。皆にも行っといて二度と関わるつもりはないわ。あの工場は、徹の家のだってね。みんな知ってるの?さっさと金庫の鍵持ってきて変だと思ったのよね。お金持って行ったのも徹でしょう。お陰で余計罪が重くなったわ」

結花がそう言うと徹は何も言わずに帰って行った。

そして二度と結花の前には表れなかった。

それから8年が経った。風の噂によれば結局徹は親の会社に就職して後を継ぐらしい。

結花が捕まってしまった後いつ自分達も捕まるかとひやひやしていたのだろう。

悪い事はやめて真面目になったようだ。

結花の交流関係で浮かんだ徹たちにも話を聞きに警察官が行ったようだが、当の結花が一人でやったの一点張りだったので、それ以上徹たちも警官に付きまとわれることは無かったのだろう。

他の3人も真面目に働いているようだ。

徹は一浪して大学にも入学したらしい。最近結婚したと聞いた。

結花は心底よかったと思ったのだ。自分の苦労は自分のした事の所為なのだ。誰の所為でもない。

自分が黙っていた事で徹がまともな道を歩いていてくれた事が嬉しかった。

結花も負けずに頑張ろう。いつか素の自分を過去の事も含めて受け止めてくれる人が現れるかもしれない。

結花の事を心配してくれる人が現れるかもしれない。それを夢見て今は目の前の日々を精一杯生きようと思った。

徹の結婚の噂は、それほど結花の気持ちを高揚させたのだった。
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