好きです、先輩。別れてください

雲の隙間から照らしてくる日差しが眩しい今日は、海日和。


白のフレアビキニの私と、ひらひらとか付いてない紺のチェックのビキニの仁那。



普通に考えて、気分は上がるはずなんだよ。海水浴に来てるんだから。




「絆菜さ、今度は何があったの?猫葉か星谷先輩でしょ」


「仁那ぁ。私もう、どうすればいいの……」




くら〜い気分は周りにバレない程度にしないとって頭ではわかってるんだよ、ちゃんと。


でもさ、おかしいんだよ───



あの日、無我夢中で封筒を開いた私の目に映ったのは『君と未来をもう一度』の先行上映会のチケット。


しかも、ご丁寧に2人分。


元カノに自分が出る映画の先行上映会のチケットを渡すのは、流石におかしいでしょ?



なんで、なんで、なんで。



先輩を振った私に、これ以上優しくしないで。


期待を、持たせないで───




「絆菜!」


「な、なに?」


「せっかく海に来たのに、そんな顔しないで。……嫌なことはいったん忘れて、楽しも?」


「……うん」




周りから聞こえる、非日常を楽しむ人の声。


そのなかで、私たち2人は浮いているんだろう。



にこっと笑った仁那は、全部を受け止めてくれそうな、安心感を秘めている。


それを見た私の心も温かく照らされる。



目を合わせた私たちは、どちらからともなく海へ駆け出した。

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