好きです、先輩。別れてください
ありがとう、猫葉くん


自分の中で、気持ち全部に整理をつけて迎えた木曜日。


待ち合わせ場所は、花火大会のときの神社。




「ちょっとぶりだね、猫葉くん」


「な。どっかの店入る?」


「えっと、歩きながら話さない?」


「……いいよ」




何かを察した、みたいな顔。


それでも私に笑いかけてくれるんだね、猫葉くんは。


───どこか、悲しげに。



その表情を見て、私の胸がぎしっと軋んだ。




「桜庭さんは仁那と遊びに行った?」


「うん。海とか、他にもいろいろ」


「俺も希兎と海行ったんだけどさ。仁那とがよかったって、あいつずっと拗ねてんだよ」


「やっぱり希兎くんってそういうかわいいとこあるよね」




夏休みはまだ中間くらいだけど、もう思い出話はたくさんできてる。


誰と何をした、こんなことが楽しかった。


そんなたわいない話を、たくさんたくさん。



川の近くは涼しくて、いつまでも歩いていられるような気もするけど、ダラダラと引きずるのは相手を傷つけるだけ。


会話が途切れたタイミング。何の変哲もない道端で、私は足を止めた。

< 142 / 152 >

この作品をシェア

pagetop