好きです、先輩。別れてください
「猫葉くんと入れ違いだったかな……」




人がまばらな廊下を歩きながらひとり呟く。


クラスメイトの女子いわく、猫葉くんがクラス委員だからって教室に置きにいった、らしい。


さっきまで教室いたのにな……



仁那には、ちょっと遅れるかもだから先に食べてて、とLINEで伝えてある。



ガラッと扉を開けた、のぞいた教室では───




「猫葉くん……寝てる?」




机に突っ伏している猫葉くんが。


私の机にはきちんと畳まれたパーカーと水筒が置いてある。


これって起こさないほうがいいよね。お礼どうしようかな……




「いいこと思いついた!」




私は自分の机の中から小さめのメモを取り出す。




『   水筒とパーカー、置いておいてくれてありがとう     桜庭   』




これを猫葉くんの机に置いておけば気づいてくれるよね。


そう思って机に近づく。




「猫葉くん、ありがと」




小声で呟いてメモを置こうとする。




「さくらば、さん」


「あ、ごめん。起こしちゃった?」




少し上げた顔。眠たげな目で見上げてくるのは、母性本能をくすぐるものがある。


起こしちゃったならお礼を言って戻ろうとした、だけなのに───


< 81 / 126 >

この作品をシェア

pagetop