記憶の欠片
——慧くんへ


これを慧くんが読んでいるってことは……
私はもう、諦めちゃったのかな。


慧くんには、本当にたくさん助けてもらった。
何度も、何度も。
私が怖くて立ち止まったときも、何も言わずに前に立って、守ってくれた。


だからね、ずっと不安だった。
私、迷惑ばかりかけてないかなって。


慧くんがそんなふうに思わないって、分かってる。
分かってるのに、それでも怖かった。
このままじゃ、私はずっと“守られるだけ”の存在でしかいられない気がして。


もう、これ以上助けてもらってばかりは嫌なの。
迷惑をかけるのは、終わりにする。


だから私、慧くんと会えないくらい
遠いところに行くことにした。


もう、会うことはないと思う。


一人で大丈夫。
一人で、ちゃんと歩いていく。


最後まで迷惑をかけてしまって、ごめんなさい。
本当に、ごめんなさい。



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