記憶の欠片
 私たちはキャンプ場に戻り、砂まみれの足を洗ってテントを設営する。

 手分けしてポールを立て、ペグを打ち込むたびに笑い声が響く。

 テントの角度が合わずに苦戦していて献くん。

 その姿がなんだか可愛らしく思えた。

 夕暮れの空気の中、火を囲んでバーベキューを始める。

 炭が赤く燃え、薪の香りと煙が混ざった匂いが漂う。

 三湊くんは手際よくお肉をひっくり返し、焦げ目がつくと「ちょっと見て、完璧だろ?」と得意げに見せる。

 慧くんは少し離れたところで炭の火を見つめている。


「火加減、大丈夫かな」


 彼は小さく呟き、集中してお肉を焼いていた。

 その横顔は夕日の光に照らされ、どこか大人びて見える。

 私は串に刺したマシュマロを火にかざし、じんわりと溶ける様子を楽しむ。

 ふと見ると、慧くんもそっと私の隣に座っていて、同じようにマシュマロを焼いていた。

 目が合うと、二人で照れ笑いを交わす。

 明日香ちゃんは嬉しそうに笑いながらお菓子を配り、献くんは三湊くんと火の周りで談笑している。

 夜空には星が瞬き始め、焚き火の橙色と対照的に、キャンプ場全体が幻想的な雰囲気に包まれる。

 波の音と薪の弾ける音が、静かに混ざり合う。

 こうしてみんなと一緒に過ごす時間が、ずっと続けばいいのに、と心から思った。

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