記憶の欠片

 昼休憩。

 教室には、弁当の包みを開く音や、笑い声が広がっている。

 窓から入る風は、もう春より少しだけ暖かい。

 私は何気なく、机の上に置いた筆箱を手に取った。

 ——あれ?

 指先が、いつもの感触に触れない。

 筆箱のファスナーの横。

 いつも揺れているはずの、あの小さな重み。


 「……ない」


 心臓が、どくんと鳴った。

 ガラスの小瓶に入った、星の形をした三つの宝石。

 無くしてはいけない、大切なキーホルダー。

 私は慌てて筆箱を持ち上げ、机の周りを見回す。

 椅子の下。

 鞄の中。

 ——どこにも、ない。

 胸の奥が、ざわつく。

 教室の中で響く音の全てが、急に遠くなる。

 落とした……?

 私は立ち上がり、前の時間に使った場所を思い出す。

 ——図書室だ。
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