記憶の欠片
昼の校舎は、少しぬるい空気に包まれていた。
廊下を進むたびに、胸の鼓動が早くなる。
お願いだから、あって……。
足早に階段を上り、図書室の扉を開ける。
静かな空間。
紙の匂い。
差し込む光。
視線を走らせてすぐに、それを見つけた。
机の上。
陽の光を受けて、ガラスの小瓶がきらりと光っている。
「……あった」
喉から、ほっと息がこぼれた。
近づいて、そっと手に取る。
クリスタルブルーの星の宝石が、小さな瓶の中でかすかに触れ合って音を立てた。
私はそれを胸の前で、きゅっと握りしめる。
温もりを確かめるみたいに。
失くしてはいけないものが、ちゃんと、ここに戻ってきた。
そう思った瞬間、胸の奥に張りついていた不安が、静かに溶けていった。