記憶の欠片
朧月
ピンク色の花びらで彩られている長い階段を駆け足で登る。
「…この階段、地味にしんどいなぁ」
暫く登って上を見ると、まだ半分程残っている。
え、結構登ったと思うんだけど。
これから毎朝味わうことになるだろう地獄に絶望しながら、私は何とかこの長い道のりを進みきった。
階段の下では屋上しか見えてなかったはずのその校舎は姿を露わにしていた。
ガラス張りで、見る者を圧巻させる風貌の建物だ。
「すごい綺麗だなぁ」
校舎の前には、煉瓦の広場の中央に噴水がひとつ。
正面を見れば、入学おめでとうと書かれた旗がひらひらと翻っている。
ようやく入学式の実感が湧いてきたかも。
数歩歩いて辺りを見渡すと、奥の方に大きなボードが六枚あることに気づいた。
…クラス分けの表かな、私は…あ、一組だ。
一先ず名前を見つけた事に安堵した私だけど、さっきから疑問に思っていたことがひとつある。
「…人が、いない」
冷や汗が背筋を伝う。
もしかして、時間やばい?
急いでポケットからスマホを取り出して、時刻を確認する。
八時四十五分…集合は、五十分。
顔が青ざめる。
あ、あと五分…?!
初日から遅刻は流石に有り得ない。
と、とにかくのんびりしてる暇なんてない、急いで一組を見つけないと。
私はダッシュで校舎に入って、どこにあるかも分からない教室を求めてひたすら走った。
空色に染まった廊下は無駄に静かで、まるで空の中を走っているみたいだった。
私の足音と呼吸音だけが響いている。
まるで、この世界に私しか居ないみたいだ。
廊下の開いた窓から、春風が吹きこみ、柔らかな光と共に花びらがひらりと舞い込んだ。
横目に外を見れば、街と空と、遠くの山並みが一望できる景色が広がっていた。
さっき登ってきた長い階段も、今はただの線みたいに見える。
なんて眺めのいい高校だろう。
その景色に思わず感心し足を止めそうになるが、慌てて再び足を進める。
そうだった、こんなことしてる暇じゃなかった、早くクラスに辿り着かないと。
ど、どうしよう既にクラスでホームルームが始まってたら…。めっちゃ気まずいじゃん、私。
「…この階段、地味にしんどいなぁ」
暫く登って上を見ると、まだ半分程残っている。
え、結構登ったと思うんだけど。
これから毎朝味わうことになるだろう地獄に絶望しながら、私は何とかこの長い道のりを進みきった。
階段の下では屋上しか見えてなかったはずのその校舎は姿を露わにしていた。
ガラス張りで、見る者を圧巻させる風貌の建物だ。
「すごい綺麗だなぁ」
校舎の前には、煉瓦の広場の中央に噴水がひとつ。
正面を見れば、入学おめでとうと書かれた旗がひらひらと翻っている。
ようやく入学式の実感が湧いてきたかも。
数歩歩いて辺りを見渡すと、奥の方に大きなボードが六枚あることに気づいた。
…クラス分けの表かな、私は…あ、一組だ。
一先ず名前を見つけた事に安堵した私だけど、さっきから疑問に思っていたことがひとつある。
「…人が、いない」
冷や汗が背筋を伝う。
もしかして、時間やばい?
急いでポケットからスマホを取り出して、時刻を確認する。
八時四十五分…集合は、五十分。
顔が青ざめる。
あ、あと五分…?!
初日から遅刻は流石に有り得ない。
と、とにかくのんびりしてる暇なんてない、急いで一組を見つけないと。
私はダッシュで校舎に入って、どこにあるかも分からない教室を求めてひたすら走った。
空色に染まった廊下は無駄に静かで、まるで空の中を走っているみたいだった。
私の足音と呼吸音だけが響いている。
まるで、この世界に私しか居ないみたいだ。
廊下の開いた窓から、春風が吹きこみ、柔らかな光と共に花びらがひらりと舞い込んだ。
横目に外を見れば、街と空と、遠くの山並みが一望できる景色が広がっていた。
さっき登ってきた長い階段も、今はただの線みたいに見える。
なんて眺めのいい高校だろう。
その景色に思わず感心し足を止めそうになるが、慌てて再び足を進める。
そうだった、こんなことしてる暇じゃなかった、早くクラスに辿り着かないと。
ど、どうしよう既にクラスでホームルームが始まってたら…。めっちゃ気まずいじゃん、私。