記憶の欠片

〈記憶の欠片 雨が止みませんね〉

 中学二年生の、夏だった。

 いつから始まったのかは、もうはっきり覚えていない。

 気づいたら、私が“標的”になっていた。

 机の落書き。

 聞こえるように言われる陰口。

「お父さんいないんでしょ」

 そんな言葉を、笑いながら投げつけられる。

 しんどかった。

 正直、何度も心が折れそうになった。

 それでも私は、休まなかった。

 学校に行かない理由を作るのが、怖かった。

 逃げたって思われるのが、悔しかった。

 味方はいなかった。

 ……正確に言えば、作らなかった。

 誰にも相談しなかったから。

 大丈夫なふりをするのが、癖になっていたから。

 必死に、何も感じていないふりをして、ただ毎日をやり過ごしていた。


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