想いはいつか、本物になる。〜契約結婚脱出までの私たちの365日〜
『彼女は俺の婚約者です』


 蒼羽にちょっかいをかけていた桐島さんを牽制するために、とっさについた嘘。

 蒼羽の気持ちも考えず、周囲に向けて一方的に宣言したそれを、なんとか事実にしてしまおうと我ながら必死だった。


 そのあとも、ピュアな蒼羽をなんとか説き伏せて、力技で利害一致の契約結婚に持ち込んだ。

 俺のことを゙苦手だ゛と言っていた彼女。先に゙夫婦゙という関係になってしまえば、あとはなんとかなると思っていた。

 しかし、一向に関係は進展する気配がない。

 結婚前となんら変わりない、俺の好みだけが反映されたリビングを見やる。

 この場所が、いつか蒼羽の色に染まる日がくるのだろうか。

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