想いはいつか、本物になる。〜契約結婚脱出までの私たちの365日〜
 寝室と聞いて、思わず顔を赤くした私を見て、麻衣が口角を上げる。

「蒼羽ったら、なに想像してるのよ」
「し、してないしてない」

 そんな想像力なんてないし、もちろん経験もない。

「あーあー、いいいい。新婚さんののろけはノーサンクス」

 自分から振っておいて、麻衣は耳を塞ぐふりをする。

「夜はデート?」
「デートというか、一応食事の約束はしてる」
「いいわね~。奮発してもうらうのよ」

 これから伊丹へのフライトだという麻衣を見送って、私は待機へと戻った。


 八月も下旬だというのに、夜になってもなかなか気温は下がらない。

 自分が生まれたというだけで無条件に好きな月だとは思うけれど、年々最高気温を更新するのだけは、辟易してしまう。

 今日のために、ノースリーブワンピースを新調した。

 こういう畏まったデートの経験がない私は、手持ちの服の中のどれを着ていいのかわからず、思い切ったのだ。

 服だけでなく、小物も靴も全てショップの店員さんにお任せした。

 いい年をしてデートを前にあたふたして情けなくもなったけれど、プロのお墨付きということもあって、凱斗さんに恥をかかせない程度にはなったと思う。

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