想いはいつか、本物になる。〜契約結婚脱出までの私たちの365日〜
 着替えを終えて荷物をまとめていると、凱斗さんからメッセージが入った。

【今夜は早く帰れそう。蒼羽は?】
【私もこれから帰ります】

 やっとだ。やっと凱斗さんに本当のことが話せる。

「ごめん麻衣。私、先に出るね」
「わかった。またね」

 ここからは一人になって、心を落ち着けたい。

 ようやく着替え始めた麻衣に手を振って、更衣室をあとにした。


「おかえり蒼羽」

 家に着くと、凱斗さんが出迎えてくれた。

「ずいぶん早かったんですね」
「ああ」

 凱斗さんも会社から帰ったばかりらしく、スーツ姿のまま。

 私とはあまり視線も合わせてくれず、いつもより声も暗い。

 時間を置けばいつもみたいに話せるんじゃないかと思ったけれど、甘かったみたい。

 凱斗さんはなんだかそっけなくて、前よりも態度が悪化している気がする。


「こっち来て座ったら」

 凱斗さんがリビングのソファーの前に立ち、私を呼ぶ。

「はい」

 いつもは彼の隣に座るけれど、近寄り難くてローテーブルの端にある一人がけの椅子に座る。

 凱斗さんはなにか言いたそうに私を見ていたけれど、結局何も言わず、そのままソファーに腰掛けた。

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