響け!シャガのクレッシェンド
自身の頭を撫でてくれたあの手の温もり、手の感触、全てを思い出しながらリズはルートヴィッヒを真っ直ぐ見つめる。

「「もしも本当の名前に辿り着ける人がいたならば、その人のことを信用しなさい。君のことを知りたいと思う人は、君のことを心から想っている人だから」と」

「なるほど。レオンが君の名前を見つけてくれるのを待っているんだね」

「はい。……ですが、私の過去を知ることでレオンハルトさんが幻滅してしまわないか心配です」

不安が心に芽生えていく。再び俯いてしまいそうになったリズを、ルートヴィッヒが「幻滅しないさ」とすぐに答えた。ルートヴィッヒは窓の方を見て笑う。

「レオンは君を気に入っている様子だからね。……まぁ、これは兄の勘ってやつなんだけど」

ルートヴィッヒはそう言った後、ゆっくりと立ち上がった。リズを見つめ、「そろそろ帰るよ」と言う。リズは見送りをするため、立ち上がった。

「ルートヴィッヒさん。またよければお越しください。本日は足を運んでいただき、ありがとうございました」
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