響け!シャガのクレッシェンド



昼間でも薄暗い裏路地にて、ジョセフは魔法の杖を目の前の人物に向けていた。目の前の人物の衣服はボロボロに破れ、剥き出しになった皮膚からは鮮血が流れていく。

「……全く、何故うまくあの探偵を始末できなかったんだ?君には期待していたのに。残念だよ」

ジョセフの冷たい目にその人物は体を震わせ、地面に頭をつける。

「お許しください!次こそは必ず仕留めます!」

しかし、その命乞いは無意味と化した。数秒後、ジョセフの放った魔法はその人物の命を奪ったのだ。先ほどまで命乞いをしていた人間は、ただの肉の塊と化す。

「……全く。やはり、人に任せずに自分で仕留めた方が早いな」

レオンハルト・ジッキンゲンがリズ・ポッターの正体を知ることは、ジョセフにとって大変都合が悪いのだ。ジョセフはシルクハットを被り直す。

「トロンペーテに戻るか」

先ほど命を奪った人物には目もくれず、ジョセフは光に満ちた表通りへと歩き出した。
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