たい焼きの頭としっぽ〜歳の離れた弟を育てていたら、幼なじみの御曹司俳優までお世話することになりました〜
「プルルッ、プルルッ」

後ろから、着信音が聞こえる。
私は、パッと振り向く。

ローテーブルの上で、スマホがブルブル、震えている。

でも、私は走らない。
スタスタと歩いていく。

スマホを覗き込む。
やっぱり拓真だ。

もう音が止まるとか、考えなくても良い。またすぐに、私から掛け直せば良いから。

幼馴染?同志?恋人?夫婦?
もう、そんな一言では表せない。

とにかく、これが私たちの、私たちの関係だ。

スマホを手に取る。
通話ボタンを押す。

拓真の声が聞こえてくる。

「もしもし、鈴子?」
「拓真!見てたよー!おめでとう!」

ソファの上に、ポスっと座る。
心のままに。
弾んだ声で、そう伝える。

「ああ。ありがとう。ひとまず、ホッとしたよ」

拓真の声も、弾んでた。

「もーう。夜通し、どうしよーどうしよーって、嘆いてた人には思えないね」
「そりゃあな。やっと肩の荷が降りたから」
「あははっ……そうだね。よく頑張りました」

今日の朝。玄関でシャツの襟を正したとき。
チラッと顔を見上げた。
やっぱり、いつもより怖い顔をしていた。

でも、もう声で分かる。

拓真は、笑ってる。
だから、私も笑ってる。

「あっ、鈴子。まだ、うちか?」
「うん。そっちは?湊も一緒?」

「ああ。でも、車乗った途端、爆睡だ」
「ははは……湊もああ見えて、緊張してたんだよ。きっと」

「じゃあ、どうする?明日、卒園式だろ?店より、うちから行かせるか?」

(あっ、服……!)

私は、その言葉に、ハッとする。

スマホを耳に当てたまま。
ソファから、スッと立ち上がった。

寝室に向かって、歩き出した。

「そんなことかと思って、ばっちり衣装、持ってきてたんだよね~」
「ほ~さすがだな。鈴子さんは」

「ね~、ナイス判断だったわ~」
「あははっ、じゃあ、あと10分くらいで着くから」

「はいはーい!気をつけてー」


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