たい焼きの頭としっぽ〜歳の離れた弟を育てていたら、幼なじみの御曹司俳優までお世話することになりました〜
それでも、続く
私は、初めて拓真と一つになった。
私の周りにあるのは、いつも賑やかな日々だ。だからこそ、自分の部屋で一人になると、その静けさが強烈に感じられる日もあった。
戻ってくる賑やかな日々は、何も変わらない。
でも、今は自分の部屋で一人になっても、まるで一人じゃないみたいに、心がずっと飛び跳ねている。
しかも、拓真と会う前日とならば、それどころの話ではない。
電話の最後に、間を置きながら残された
「じゃあ、明日ね」
という拓真の声が、とにかく頭から離れなくて、枕を抱きしめながらジタバタと転げ回り、その気持ちを落ち着けるのに何時間と苦労するくらいだ。
なんというか一言で表すなら、とにかく凄かった。もちろん、気持ちよさは言うまでもない。
内から熱いものが込み上げてくるような、果てしなく遠くまで飛んでいけそうな、こんな快感がこの世界にあるのかと思うほどだった。
そして何よりも、あの時間は、拓真の前で少しだけ素直になれた気がする。
小さい頃からずっと拓真は、同じスピードで育っているはずなのに、すぐそこにいるはずなのに、私よりはるかに大人で、会いたいと思うときに会えない。
言うなれば、一番近くて、一番遠い存在だった。
私もそれをちゃんと理解していたから、少しくらい離れた場所でも、その人の存在をそばに感じられる瞬間があるだけで、十分だと思っていた。
だけど、初めてあんなにも手を伸ばしただけで、届くほどに近く感じられた。だから今まで口にしてはならないと思っていた言葉も、勝手に出てきた。
あまりに身近で、あまりにも偉大な相手だからこそ生まれた、劣等感にも似た重たい感情は、もう私の中から消えていた。
そんな寝た気のしない浮き立つ夜があっても、いつものように早朝から台所には立たなくちゃならない。人々が動き出すにはまだ早い、ちょうど朝日が昇り始めた頃だった。
「プルルル、プルルル」
これから本格的に動き出そうとする、小濱家の貴重な時間を奪うように、一本の電話の知らせが鳴り響いた。
「あら?こんな朝早くから電話ね?」
「母さん、私出るよ」
「うん!おねがーい!」
私はとにかくその音が途切れる前に、店の電話を取ることだけを考え、台所布巾で濡れた手をさっと拭きながら、一目散にダッシュを切った。
そして間一髪で、寝ぼけた頭を必死に奮い立たせながら、受話器を手に取る。
(......よっし!...…間に合った)
迷いなく受話器を耳にぴったりと当てると、第一声に聞こえてきた声は、やけにくぐもったものだった。
「ほら、拓真。ケジメをつけなさい」
馴染みのある常連さんの声でもなければ、慌ただしく息巻く業者さんの声でもない。
まるで道を外れた子供を、頭ごなしに正すみたいな、厳しくて冷たい大人の女性の声。
私の周りにあるのは、いつも賑やかな日々だ。だからこそ、自分の部屋で一人になると、その静けさが強烈に感じられる日もあった。
戻ってくる賑やかな日々は、何も変わらない。
でも、今は自分の部屋で一人になっても、まるで一人じゃないみたいに、心がずっと飛び跳ねている。
しかも、拓真と会う前日とならば、それどころの話ではない。
電話の最後に、間を置きながら残された
「じゃあ、明日ね」
という拓真の声が、とにかく頭から離れなくて、枕を抱きしめながらジタバタと転げ回り、その気持ちを落ち着けるのに何時間と苦労するくらいだ。
なんというか一言で表すなら、とにかく凄かった。もちろん、気持ちよさは言うまでもない。
内から熱いものが込み上げてくるような、果てしなく遠くまで飛んでいけそうな、こんな快感がこの世界にあるのかと思うほどだった。
そして何よりも、あの時間は、拓真の前で少しだけ素直になれた気がする。
小さい頃からずっと拓真は、同じスピードで育っているはずなのに、すぐそこにいるはずなのに、私よりはるかに大人で、会いたいと思うときに会えない。
言うなれば、一番近くて、一番遠い存在だった。
私もそれをちゃんと理解していたから、少しくらい離れた場所でも、その人の存在をそばに感じられる瞬間があるだけで、十分だと思っていた。
だけど、初めてあんなにも手を伸ばしただけで、届くほどに近く感じられた。だから今まで口にしてはならないと思っていた言葉も、勝手に出てきた。
あまりに身近で、あまりにも偉大な相手だからこそ生まれた、劣等感にも似た重たい感情は、もう私の中から消えていた。
そんな寝た気のしない浮き立つ夜があっても、いつものように早朝から台所には立たなくちゃならない。人々が動き出すにはまだ早い、ちょうど朝日が昇り始めた頃だった。
「プルルル、プルルル」
これから本格的に動き出そうとする、小濱家の貴重な時間を奪うように、一本の電話の知らせが鳴り響いた。
「あら?こんな朝早くから電話ね?」
「母さん、私出るよ」
「うん!おねがーい!」
私はとにかくその音が途切れる前に、店の電話を取ることだけを考え、台所布巾で濡れた手をさっと拭きながら、一目散にダッシュを切った。
そして間一髪で、寝ぼけた頭を必死に奮い立たせながら、受話器を手に取る。
(......よっし!...…間に合った)
迷いなく受話器を耳にぴったりと当てると、第一声に聞こえてきた声は、やけにくぐもったものだった。
「ほら、拓真。ケジメをつけなさい」
馴染みのある常連さんの声でもなければ、慌ただしく息巻く業者さんの声でもない。
まるで道を外れた子供を、頭ごなしに正すみたいな、厳しくて冷たい大人の女性の声。