たい焼きの頭としっぽ〜歳の離れた弟を育てていたら、幼なじみの御曹司俳優までお世話することになりました〜
別に私があえて何かしなくても、その誓いは勝手に叶えられた。
拓真と湊の帰りが、バラバラになったから。
恐らく寝ている私たちを気遣ってくれているのだろう。玄関のドアを開く音が、スリッパで床を叩く音が、小さく聞こえる。
(あっ、帰ってきた……今日も遅いな……)
でも私はすぐに気づく。
しっかり起きているから。
湊と一緒に寝室に入っても、本当に寝るわけじゃない。
間接照明の明かりすらない、黒々とした天井をただひたすらに見つめるだけ。
そうして私の心に居座る危険な蕾を思い出し、ため息をついて、それを押し潰すようにギュッと瞼を閉じる。
その瞼も長く閉じたままになり、拓真がいつ帰ってきたか分からない日だってあった。
そして朝、湊と一緒に寝室から出ると、拓真がソファの上でまた本を広げている。
でも、いつからだろう。
そんな通り過ぎていた足音が、寝室の前で止まるようになった。
ガチャっとドアが開き、外から眩しい光が差し込んでくる。
私はその光から目を背けるように、寝返るふりをして、身体の向きを変える。
しばらくすると、まるで私たちが寝ていることを確認したみたいに、先ほどよりも静かにドアが閉まる。
その光を浴びるたびに、鼓動の早さがものすごい勢いで早くなる。それを全身で隠すように身体をギュッと縮こめる。
別に誰から追われているわけでもないのに、一人で逃げているような気分だ。
嘘をついていることに罪悪感はものすごくある。
でも、私が最も恐れている大罪を避けられるのなら、それだって平気で背負ってみせる。
今日も相変わらず上手く寝付けなくて、リビングに水を飲みに来た。
寝室に戻ろうと、リビングのドアを開ける。
すると、身体がビクンと跳ね上がって、私はそのまま動けなくなった。
「うわっ!びっくりした!」
そこには、ちょうど仕事から帰ってきた拓真が立っていたから。
身体は固まったまま、鼓動だけが走る走る。
びっくりからくるものなら、すぐ落ち着くけど、今日のこれは違う。焦りからくるものだ。
(一緒にいちゃダメなんだって!)
私の中がすぐにそう騒ぎ出すから。
だから、拓真をただの空気のように扱って、いつものように寝室へと戻る。
しかし、数歩歩いたところで、拓真の不機嫌そうな声が、また私の動きを止めた。
「……お前。俺のこと、避けてるだろ?」
(うっわー……)
ぐうの音も出ない、とはこのことだ。
私の頭は腑抜けになったみたいに、使いものにならなくなった。
ここで、この心のブレがバレたら、すべてが台無しになる。
だから私は、呑気に笑いながら、そのままバカのふりをし続けた。
「あはははっ……避ける?なんで、私が?」
そして、あとは寝室に戻るだけ。
最後まで笑い声を上げたまま。
あんな空気にはもうさせない。
でも、またあっけなく、あの空気に戻った。
「……だから……そういうとこだよ」
野晒しになった腕が、拓真の熱の入った手に、捕まってしまったから。
その手の温度は、直接肌に伝わる。
そして、昨夜一つ残らず押し潰したはずの蕾に、また顔を出そうとさせる。
(何?この時間は?逃げたい、逃げたい、逃げたい……)
私の心は、もうどこからどう見たってブレブレだ。でも、それだけは見せちゃいけない。
だから、ただただ背を向けたまま、静かに拓真の言葉を待っている。
すると、拓真が時間をかけて出した言葉は、とんでもないワードだった。
拓真と湊の帰りが、バラバラになったから。
恐らく寝ている私たちを気遣ってくれているのだろう。玄関のドアを開く音が、スリッパで床を叩く音が、小さく聞こえる。
(あっ、帰ってきた……今日も遅いな……)
でも私はすぐに気づく。
しっかり起きているから。
湊と一緒に寝室に入っても、本当に寝るわけじゃない。
間接照明の明かりすらない、黒々とした天井をただひたすらに見つめるだけ。
そうして私の心に居座る危険な蕾を思い出し、ため息をついて、それを押し潰すようにギュッと瞼を閉じる。
その瞼も長く閉じたままになり、拓真がいつ帰ってきたか分からない日だってあった。
そして朝、湊と一緒に寝室から出ると、拓真がソファの上でまた本を広げている。
でも、いつからだろう。
そんな通り過ぎていた足音が、寝室の前で止まるようになった。
ガチャっとドアが開き、外から眩しい光が差し込んでくる。
私はその光から目を背けるように、寝返るふりをして、身体の向きを変える。
しばらくすると、まるで私たちが寝ていることを確認したみたいに、先ほどよりも静かにドアが閉まる。
その光を浴びるたびに、鼓動の早さがものすごい勢いで早くなる。それを全身で隠すように身体をギュッと縮こめる。
別に誰から追われているわけでもないのに、一人で逃げているような気分だ。
嘘をついていることに罪悪感はものすごくある。
でも、私が最も恐れている大罪を避けられるのなら、それだって平気で背負ってみせる。
今日も相変わらず上手く寝付けなくて、リビングに水を飲みに来た。
寝室に戻ろうと、リビングのドアを開ける。
すると、身体がビクンと跳ね上がって、私はそのまま動けなくなった。
「うわっ!びっくりした!」
そこには、ちょうど仕事から帰ってきた拓真が立っていたから。
身体は固まったまま、鼓動だけが走る走る。
びっくりからくるものなら、すぐ落ち着くけど、今日のこれは違う。焦りからくるものだ。
(一緒にいちゃダメなんだって!)
私の中がすぐにそう騒ぎ出すから。
だから、拓真をただの空気のように扱って、いつものように寝室へと戻る。
しかし、数歩歩いたところで、拓真の不機嫌そうな声が、また私の動きを止めた。
「……お前。俺のこと、避けてるだろ?」
(うっわー……)
ぐうの音も出ない、とはこのことだ。
私の頭は腑抜けになったみたいに、使いものにならなくなった。
ここで、この心のブレがバレたら、すべてが台無しになる。
だから私は、呑気に笑いながら、そのままバカのふりをし続けた。
「あはははっ……避ける?なんで、私が?」
そして、あとは寝室に戻るだけ。
最後まで笑い声を上げたまま。
あんな空気にはもうさせない。
でも、またあっけなく、あの空気に戻った。
「……だから……そういうとこだよ」
野晒しになった腕が、拓真の熱の入った手に、捕まってしまったから。
その手の温度は、直接肌に伝わる。
そして、昨夜一つ残らず押し潰したはずの蕾に、また顔を出そうとさせる。
(何?この時間は?逃げたい、逃げたい、逃げたい……)
私の心は、もうどこからどう見たってブレブレだ。でも、それだけは見せちゃいけない。
だから、ただただ背を向けたまま、静かに拓真の言葉を待っている。
すると、拓真が時間をかけて出した言葉は、とんでもないワードだった。