たい焼きの頭としっぽ〜歳の離れた弟を育てていたら、幼なじみの御曹司俳優までお世話することになりました〜
「寝たいんだ」
(………はい?)
私はその言葉で、いとも簡単に後ろを振り返る。
でも、拓真の顔を見ると、色んな雑念は、すぐにどこかへ吹っ飛んでいった。
あんなに直視できないほど、強い眼光をはらんでいた目から、光という光がなくなっていたから。
そして、サイドに流れる黒々とした毛並みを掻きむしりながら、険しい顔で、でも珍しく、自分からこう話しかけてくる。
「どうも、頭が静まらなくて……あの日みたいに、お前の横で休ませてほしいんだ」
(あ、あの日って?キスの?……てか、いつからそんな目を?……それに、なんで私?)
実際、こうやってちゃんと顔を見ることも、久しぶりだった。
吸って吐いてを繰り返すたび、聞きたいことが止めどなく湧き出てくる。
でも、これだけは聞かなくてもすぐにわかった。
拓真は何日も寝れていないんだって。
「……どのくらい寝てないの?」
だから、考えるより前に、いの一番に出てきたのも、その言葉だった。
拓真は記憶さえ曖昧になっているのか、ボサボサの髪で、まるで子供みたいに数字を指折り数え始める。
「一、ニ。ん?三日か?」
「み、三日!?」
冷静でいられるはずもない。
思わず声が大きくなる。
顔のぜんぶに驚きがあらわれる。
「ああ。恐らく」
でも拓真は、まるで慣れてるみたいに、ビクとも揺らめかない。
(なんで、そんな当然みたいに……)
よく考えれば、こんなに拓真が素直にぶつかってきたのは初めてなわけで。
私もこのタイミングで、積もり積もった心配の種を一気にぶつけてみた。
「眠くないの?」
「眠い?そりゃあ、眠いさ……でも、眠くて、寝れたら苦労しない」
「じゃあ、今までどうやって」
「色々と試しはしたが、もう諦めた。気を失うとこまで行けば、空いた時間にでも、勝手に寝れるからな」
(気、気を失う?そんなのただの気絶じゃん!)
ここに来たばかりの私だったら、これだけ聞けば、一つ返事で何でも受け入れていただろう。
平気そうにしてるけど、まるで助けを乞うように、弱々しい目力で、私をずっと離さないんだから。
「でも明日は、待ちがほとんどなくてな。途中で穴を開けるわけにも行かない。どうだ?ダメか?」
「……ダメかって、そんなこと言われても」
(うぅ……どうしよう……)
今日の私はその目を見たまま、ウジウジと答えを出せずにいた。
その目を見れば見るほど、私の中が、危険だ、危険だと訴えてくるから。
すると、拓真はそんな私のブレの、ど中心を、鋭く刺してくる。
「やっぱり。俺、お前になんかしたか?」
(ま、まずい……また、あの話だ……)
あの日のミスだけは、何があっても隠し通さなきゃいけない。
とにかく、もう私にはやるという選択肢しかないのだ。
今だけは、危険だと言う声に、どこかへ行ってもらうしかない。
だから私は下を向いて、その声を掻き消すように、言葉を走らせた。
「あー、もー、分かった、分かったよ」
(………はい?)
私はその言葉で、いとも簡単に後ろを振り返る。
でも、拓真の顔を見ると、色んな雑念は、すぐにどこかへ吹っ飛んでいった。
あんなに直視できないほど、強い眼光をはらんでいた目から、光という光がなくなっていたから。
そして、サイドに流れる黒々とした毛並みを掻きむしりながら、険しい顔で、でも珍しく、自分からこう話しかけてくる。
「どうも、頭が静まらなくて……あの日みたいに、お前の横で休ませてほしいんだ」
(あ、あの日って?キスの?……てか、いつからそんな目を?……それに、なんで私?)
実際、こうやってちゃんと顔を見ることも、久しぶりだった。
吸って吐いてを繰り返すたび、聞きたいことが止めどなく湧き出てくる。
でも、これだけは聞かなくてもすぐにわかった。
拓真は何日も寝れていないんだって。
「……どのくらい寝てないの?」
だから、考えるより前に、いの一番に出てきたのも、その言葉だった。
拓真は記憶さえ曖昧になっているのか、ボサボサの髪で、まるで子供みたいに数字を指折り数え始める。
「一、ニ。ん?三日か?」
「み、三日!?」
冷静でいられるはずもない。
思わず声が大きくなる。
顔のぜんぶに驚きがあらわれる。
「ああ。恐らく」
でも拓真は、まるで慣れてるみたいに、ビクとも揺らめかない。
(なんで、そんな当然みたいに……)
よく考えれば、こんなに拓真が素直にぶつかってきたのは初めてなわけで。
私もこのタイミングで、積もり積もった心配の種を一気にぶつけてみた。
「眠くないの?」
「眠い?そりゃあ、眠いさ……でも、眠くて、寝れたら苦労しない」
「じゃあ、今までどうやって」
「色々と試しはしたが、もう諦めた。気を失うとこまで行けば、空いた時間にでも、勝手に寝れるからな」
(気、気を失う?そんなのただの気絶じゃん!)
ここに来たばかりの私だったら、これだけ聞けば、一つ返事で何でも受け入れていただろう。
平気そうにしてるけど、まるで助けを乞うように、弱々しい目力で、私をずっと離さないんだから。
「でも明日は、待ちがほとんどなくてな。途中で穴を開けるわけにも行かない。どうだ?ダメか?」
「……ダメかって、そんなこと言われても」
(うぅ……どうしよう……)
今日の私はその目を見たまま、ウジウジと答えを出せずにいた。
その目を見れば見るほど、私の中が、危険だ、危険だと訴えてくるから。
すると、拓真はそんな私のブレの、ど中心を、鋭く刺してくる。
「やっぱり。俺、お前になんかしたか?」
(ま、まずい……また、あの話だ……)
あの日のミスだけは、何があっても隠し通さなきゃいけない。
とにかく、もう私にはやるという選択肢しかないのだ。
今だけは、危険だと言う声に、どこかへ行ってもらうしかない。
だから私は下を向いて、その声を掻き消すように、言葉を走らせた。
「あー、もー、分かった、分かったよ」