たい焼きの頭としっぽ〜歳の離れた弟を育てていたら、幼なじみの御曹司俳優までお世話することになりました〜
私の肩は本当にガッチガチだった。
ちょっと力を入れたくらいじゃ、拓真の指も沈まない。

「うわあ、確かにかったいな」
「ね?でしょ?」

結局、拓真の指は、それ以上無理に力を入れることもなく、すぐに肩から離れていった。

だから私も、拓真が持つ火花の一生を、薄目を開けながら、どうにか見届ける。

「この前も、男はすぐ豹変するから、とか言われちゃってさー?この年じゃ、絶対有り得ないじゃんね?」
「うーん?それは?どうだろうな?」

次第に、こくこく、と頭まで落ちてくる。
だから、それを、頬杖で支える。

すると、火花より、見ていたいものを見つけた。
拓真の、ぼやけた横顔だ。

「えー?ないでしょ?」
「いやあ、そう言えば、英佑が数値、戻ったとかなんとか言ってたなって。全然、実感はないんだけどな?」

なんだか、夢と現実の間を、彷徨っている気分。

だって、何も言っても会話が止まらないんだもん。それどころか、二転三転と、話がどんどん進んでいく。

「じゃあ、試してみる?まだ若さ、残ってるか?」
「そうだな。やってみるか」

「ええ、でもさー、それで、もう使いものにならないってなったら、どうすんの?」
「受け止めるしかないだろ。年にはどうやっても抗えないんだから」

「あはははっ、だねー!んー、じゃあさー。先に花火消えた方から、ハグするってのは?」
「りょーかい」

もう、ほとんど目は開いていない。

だから、とりあえず床を触って、それらしきものを見つける。

あった。

「じゃあ、火、つけるぞー」
「はーい」

正直、さっきから眠くて眠くて仕方がない。

というか、もうほとんど眠ってる。

話も、あっちに行ったり。

「お前も、酔ってる?」
「うん、久しぶりー。こんな飲んだのー」

こっちに行ったり。

「ああ、湊に会いたーい」
「はいはい。ほんと、大好きだな」

そのまま、意識が飛びそうになったとき……

ずっと聞こえていた火花の散る音が、終わりを告げるように、ぷつりと止まった。

その静寂に呼ばれて、ぴったりくっついた瞼をうとうとと開く。

すると、二つの燈が連れ添うように、目の前から消えていった。

「えーー?一緒?」
「みたいだな」

「勝負にならないー!もー、やり直しー!」

拓真に向かって、正座をしながら、そう注文を入れる。

でも、「もう、ないぞ」と言わんばかりに、両手を挙げて、WHY?とポーズを取られた。

「んー?じゃあ、さっさとしちゃおー」

なら、私はもう、どんとこいといった気持ちで、思いっきり大きく手を広げた。

なんだか、海の上にいるみたい。

前に、後ろに。
このまま、倒れてしまいそう。

でも、拓真の肩に、ストンと、受け止められた。

背中には、手のひらも、感じる。

だから私も、真似をする。

そうやって、しばらく抱き合ったまま。

すっかり力の抜けた二人の身体は、いつからか、ゆらゆら右へ、左へ揺れている。

「……あったかいね」
「ああ。そうだな」

なぜか、大真面目に、本当のカップルみたいな、甘ーい空気を作り出している。

でも、そんな自分たちは、どう考えたって、おかしい。

だから、すぐに大きく笑いを吹き出す。

「…………って、なにこれ……あはははっ」
「ほんとにな、はっずかしい……っははは」

拓真を、見上げてみた。
なんだか、よく見えないけど。

すごく、楽しそうだ。

私は、んーと唇を突き出す。

もう拓真の唇が、どこにあるのかすら、分からない。

でも、一瞬だけ。

引っ付く音を立てながら、ちゃんと、私の唇にぶつかってきた。

「んー?何?何も起きないねえ」
「じゃあ。もっと、深くしてみるか?」
「うん、してしてー」

そう、お願いすると、すぐに、頭をぐっと抱きかかえられた。

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