結婚当日に夫が愛人を紹介してきたから、ヤケで愛人募集したら王弟殿下が志願してきた件。
どのくらいの間、二人で見つめ合っていたかはわからない。ほんの数秒かもしれないし、十数分だったかもしれない。
「……すまない。イレーヌは心を決めたんだよな。俺の邪な気持ちで、君の……いや、ロイル侯爵家の将来を歪めてしまうのは望んでいない」
大きく息を吐き、アーヴィンは項垂れた。
「俺は……君の幸せを心から願っている」
その言葉には真摯な思いが込められていて胸が熱くなったが、私の気持ちは揺らいでしまいそうで怖かった。
「ありがとう。私も、あなたの活躍を心から応援しているわ」
これ以上、アーヴィンと話を続けていれば、彼と離れられなくなる。助けてほしいと、そう願わずにはいられない。彼と話をするたびにその気持ちは大きくなっていき、底なし沼のように私を飲み込み引きずり込んでしまうだろう。
すべての感情が囚われてしまう前に、彼への思いを断ち切らなければ。
「そろそろ時間だから帰るわね」
その場を去ろうとする私の手をアーヴィンの手がかすめたが、二人の手が繋がることはなかった。
静かな廊下を一人歩き、過去に思いを馳せながら昇降口へと向かった。
「……すまない。イレーヌは心を決めたんだよな。俺の邪な気持ちで、君の……いや、ロイル侯爵家の将来を歪めてしまうのは望んでいない」
大きく息を吐き、アーヴィンは項垂れた。
「俺は……君の幸せを心から願っている」
その言葉には真摯な思いが込められていて胸が熱くなったが、私の気持ちは揺らいでしまいそうで怖かった。
「ありがとう。私も、あなたの活躍を心から応援しているわ」
これ以上、アーヴィンと話を続けていれば、彼と離れられなくなる。助けてほしいと、そう願わずにはいられない。彼と話をするたびにその気持ちは大きくなっていき、底なし沼のように私を飲み込み引きずり込んでしまうだろう。
すべての感情が囚われてしまう前に、彼への思いを断ち切らなければ。
「そろそろ時間だから帰るわね」
その場を去ろうとする私の手をアーヴィンの手がかすめたが、二人の手が繋がることはなかった。
静かな廊下を一人歩き、過去に思いを馳せながら昇降口へと向かった。