もう一回言って
私は笑いすぎて出た涙を拭って玄関の扉を開け靴を脱ぐ。もちろん、涼ちゃんも。
「さ。夕飯の支度しますか」
涼ちゃんが制服のブレザーを脱いでハンガーにかけ、長袖のシャツの腕をまくった。
「おー、ガンバレ」
「気持ちがこもってなさすぎだろ。ちょっとは手伝えよな」
「え…いいけど。私包丁の持ち方とかみじん切りとか千切りわかんないよ?」
「……。そうだったな。やっぱいい。先風呂入ってろ」
「ほーい♪」
いやあ、悪いなあ。幼馴染がご飯作ってくれてる間、先にお風呂入っちゃうなんて。
結構ヒドい…?まあ…後片付けは全部やってるし…?
けど、もしや涼ちゃん。ひそかに私への文句を募らせているのでは…?
今度肩たたき券でもプレゼントしよ…。
脱衣所で服を脱いでいる、と
「未桜、風呂場今タオル干して…」
「へ?」
急に入ってきた涼ちゃんに驚きが隠せなくて、素っとんきょんな声を出してしまった。


「申し訳ございませんでした…」
私がお風呂から上がると、涼ちゃんが私の下着姿を見たことを土下座して本気で謝ってきた。
「もう!何してるのー!」
「だからごめ…マジでスミマセンでした。不本意とはいえ…」
「ぐ…。不本意って言い方もなんかムカつく。…今度、パフェおごってくれるならいい」
フン、と涼ちゃんから顔をそらし、コロッケを食べ始める。
正直なところ、もうとっくに許してるし、私が脱衣所のカギを閉めてればよかっただけの話で、私に非がる。
だけど、なんかこんな大真面目な涼ちゃんを見てると、それに乗らないとこっちが恥ずかしくなりそうで怒ったふりをしていた。
「マジで…ごめんな。ありがと、パフェで許してくれて」
えぇ…パフェを奢らす私に普通怒らない?
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