青い青い空
ふっと軽くなった心のまま意を決して振り返ると、まるで睨むように右京を見ていた一石がいて、慌てて彼の名を呼んだ。
すると、ハッとした様子で彼は困ったように後頭部に手をやる。
「……すまん青崎」
(あ、謝るのはこっちです)
心の中で深々と謝りながら、すぐにわかるであろう野田の名前を出すと、「ああ、海外支部の?」と返ってくる。
「右京さんです。右京さん、こちら上司の龍ノ平一石です」
「そうでしたか。すみません、まだ帰ってきたばかりでお名前と顔が一致していなくて」
改めて自己紹介をしながら握手を求める白々しい彼に、もう一度心の中で一石に謝っておいた。
「無理もない……というか、部署が違うんだから当たり前だよ。どうも、ウチの青崎がお世話に……なったのか?」
「えっ、ええっとですね、実は」
「少し前に黒瀬雅さんを通じて知り合いまして。その後も何度かお世話に」
その先を上手く濁した彼だったけど、それだと誤解を生みそうな気が。
「……へえ」
あ、どうやら全く信じてないみたい。『どう考えたって、俺から逃れるための口実だよな』と、思い切り一石の顔に書いてある。そもそも、完全に言い出しっぺの私が悪いんですけど。
「もしかして、今からお二人で何かご予定が?」
それを察したのかどうなのか。たらりと背中に冷や汗の滝を流していると、右京が再び助け船を出してくれる。
「い、いいえ」
「ちょうど帰りが一緒になっただけだよ」
すると、満足そうに頷いた彼は、「では」と私の腰に手を回した。
「今から僕が伊代さんをお借りしても、差し支えありませんね」
「「え?」」