青い青い空
page.26 ブレンド、ホットサンド
どこか腑に落ちない気分でいると、「それでは失礼します」とさっさと立ち去ろうとする彼の背中に思わず、帰るんですか? と声をかける。
「ハイ?」
(な、何故怒って……)
「青崎さんお疲れなんですよね」
「でもこの機会を逃してしまったら、今度はいつになるかわからないので」
そう答えた私に、右京は思いきり怪訝な顔を向けた。顔にははっきりと「何を言っているのかわからない」と書いてある。
(そう言う意味で言ったわけじゃない? だったらさっきのは本当にただの演技のうちの一つで、あんな風にわざと言ったってこと?)
どれだけ人がいいのと、思わず笑みがこぼれた。
「今まで何度も助けていただいたので。せめてものお礼に、今夜の夕食を奢らせてもらうことは? 勿論ご迷惑でなければの話ですが」
驚いたように、彼が目を瞠ったのも一瞬のこと。
「わかりました」
仕方がないですねと言わんばかりに、ふっと彼は苦笑を漏らした。
「では、今夜は僕の好きな店でも?」
「はい、勿論です」
そう頷いたところで、ふと疑問が湧いた。
彼は今、どういう意図で『今夜は』と言ったのだろうかと。
「では、行きましょうか」
「その前にすみません」
「勿論ですよ」と言ってくれた彼は、それが何のことなのかもわかっているのだろう。苦笑を浮かべながら、いつもと同じように電話を掛けた。