青い青い空

 今日も今日とて、弟は相変わらずご機嫌斜めだった。


 時間を取らせたことに、すみませんでしたと一言謝罪を入れてから退社した私たちは、ビル前にある大通りの信号待ちをしていた。


「あれから進展は?」

「あはは。残念ながら」


 目の前を、何台もの車が通り過ぎていく。


「少し意外ですけどね」


 テールランプの眩しさに顔を顰めていたせいか、容赦なく傘に落ちてくる雨のせいか、彼の声が上手く聞き取れなかった。

 首を傾げていた私に、青になったのを確認してから「行きましょうか」と声を掛けてから彼は歩き出す。


「反抗期でも、お姉さんの電話にはきちんと出るのだなと思いまして」

「それは、あまりにも私がしつこいからだと思います」

「自分以外の人間を煩わしいと思うのは、思春期によくあることですよ。だから、全くないものと、無視をすることだってしようと思えばできるはず。しつこいと思っているなら尚のこと」

「と、取らなかった方が、後々面倒だってことをよく知っているのではないかと」

「そうかもしれない。でもそうではないかもしれない。まず、あなたはどう考えているのか。それを改めてみるのも一つの手かも知れませんね」

(……もしかしなくとも)


 心配してくれたのだろうか。してくれていたのだろうか。


「右京さん、やっぱり魔法使いでしょう」

「まだその設定引き摺るんですか」


 だって彼の言葉で、今日何度心が救われたか。


< 205 / 647 >

この作品をシェア

pagetop