青い青い空
今日も今日とて、弟は相変わらずご機嫌斜めだった。
時間を取らせたことに、すみませんでしたと一言謝罪を入れてから退社した私たちは、ビル前にある大通りの信号待ちをしていた。
「あれから進展は?」
「あはは。残念ながら」
目の前を、何台もの車が通り過ぎていく。
「少し意外ですけどね」
テールランプの眩しさに顔を顰めていたせいか、容赦なく傘に落ちてくる雨のせいか、彼の声が上手く聞き取れなかった。
首を傾げていた私に、青になったのを確認してから「行きましょうか」と声を掛けてから彼は歩き出す。
「反抗期でも、お姉さんの電話にはきちんと出るのだなと思いまして」
「それは、あまりにも私がしつこいからだと思います」
「自分以外の人間を煩わしいと思うのは、思春期によくあることですよ。だから、全くないものと、無視をすることだってしようと思えばできるはず。しつこいと思っているなら尚のこと」
「と、取らなかった方が、後々面倒だってことをよく知っているのではないかと」
「そうかもしれない。でもそうではないかもしれない。まず、あなたはどう考えているのか。それを改めてみるのも一つの手かも知れませんね」
(……もしかしなくとも)
心配してくれたのだろうか。してくれていたのだろうか。
「右京さん、やっぱり魔法使いでしょう」
「まだその設定引き摺るんですか」
だって彼の言葉で、今日何度心が救われたか。