青い青い空
 ――――――…………
 ――――……


『伊代? この子はね、宵くんって言うのよー』


 初めて出会ったのは高校生。宵がまだ三つにもなっていない頃だ。

 母――結衣子に紹介された父親とは何度か会っていたが、子連れだということをこの時この瞬間に初めて知った私は、それはそれは驚きで言葉を失った。


 だが、そんな私には目もくれず『言ってなかったっけ?』『今言ったからいいよねー』と、休日出勤をすることになった父親から宵を預かった母は、実の娘そっちのけで楽しそうにその子と遊んでいた。

 その様子を、私は少し離れたところで見ていた。私の人見知りは万人共通。子供相手にも問答無用で発揮される。加えて、幼い子供と接触する機会や経験が圧倒的に少なく、子供相手に何をすればいいのかサッパリわからなかった。


『いーよ?』

『あ……』

『いよ、ちゃん?』

『……は、初めまして。宵くん』


 でもそんな大人の不安や葛藤は、子供には一切関係ない。彼らにとって一番大切なのは、よく食べて、よく遊んで、よく寝ること。そして、よく笑いよく泣くこと。


『あらやだ。あたしには全然懐いてくれなかったのにー』

『いーよーちゃんっ』

『ふふっ。うん。何して遊ぶ?』


 そして何より大切なのは、たくさんの愛情を注いであげること。


 学校から帰って、喫茶店のバイトがない日は保育園まで迎えに行って、父親が帰ってくるまで遊んで、迎えに来てくれた母と一緒に帰った。再婚してからは、これでもかというほど遊び尽くした。


< 217 / 647 >

この作品をシェア

pagetop