青い青い空

『今監視カメラで確認した。青崎、そのまま正面玄関まで追跡して久賀野と合流。あとは二人に任せてお前は持ち場に戻れ』


 一拍の間を置いたあと前方に久賀野の姿を発見。わかりましたと返事をしていたら、後は任せろと言わんばかりの満面の笑顔が返ってくる。

 彼は女性の私服警官と共にその彼女に声を掛けに行った。


「……ふう」


 雨に打たれながら、来た道を戻っていく。何度か振り返りながら、一人不甲斐なさと情けなさにため息を落とした。


 信用していないわけじゃない。頼られなくなったわけじゃない。ただ心配してくれただけだ。

 そう、必死に心に言い聞かせた。


「……だいじょうぶ。ばれた、わけじゃない……」


 ぶつぶつと呟いていると、控えめに「すみません、トイレの場所を教えていただきたいんですけど」と、高校生か大学生くらいの二人の青年に声を掛けられた。

 持ち前の営業スマイルで返事をしながら、頭に叩き込んだ地図を思い出す。一番近い場所までの最短ルートで、彼らをそこまで案内することに。


「こちらですね。案内表示がわかりにくくてすみません」

「あの」

「はい」

「青崎伊代さん、ですよね」

「……はい?」


 首を傾げていたのも束の間。気付けば私は、壁際に追い遣られていた。

 そして、いつかの自分の言った言葉が頭の中でこだまする。


“――冗談で、仰ってるんじゃないんですよね”


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