青い青い空
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「……は。ハッ、――ハクショイッ!」


 大きなくしゃみに加えて身震いさせた俺を見て、隣を歩いていた佐裕子は思い切り突き飛ばして距離を取った。


「ちょっと風邪? 大丈夫?」

「全然心配してないですよね」

「夏風邪は馬鹿が引くものよ」

「へいへい。どうせ馬鹿ですよ」


 何の反論もなく、ただ拗ねた様子の俺に、彼女は再びど突いた。「肝心なところで倒れないでよね」と圧力をかけながら。


「何のためにここまで来たか、わかってるの? 私たちが一体何を、どれだけのものを犠牲にしたか」

「わかってますよ」


 食い気味の反応に、「本当にわかってるのかしら」なんて自嘲を浮かべながら、彼女は左手でエレベーターのボタンを押す。その薬指には、自分が嵌めているものと同じデザインの指輪が光っている。


「専務」

「何?」

「間違って、ないですよね」

「…………」

「俺らが今していること。しようとしていることは」

「それを知る者はもう、この世界のどこを捜してもいないわ」


 けれど、それと同じ答えを導いてくれる人間なら、たった一人だけいる。


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