青い青い空

 そして瞬きの後、円卓からは藍色の衣を残して全ての色が消えた。


『人間の言葉にあるよね。確か、逆鱗に触れる?』

「言い得て妙な話だ」

『取り敢えず、今回の会議内容は【売られた喧嘩はどうするか】って解釈でOK?』

「ふはっ。……ええ。それで構わないよ」

『てかみんな血の気が多いね』

「そう言うお前は違うのか?」


 碧――そう呼ばれた者は、目深に被っていた衣を剥ぐ。

 しかし、顔と思しき場所は長い前髪で覆われ、見えるのは僅かに薄く開く唇のみ。


『どうだろう。まあ人間にしては、割と気に入ってる方かな』

「どちらを?」

『藍サンやけに突っかかってくるじゃん』

「お前にだけではない。今散り散りに去って行った色たちにも、私は同じようなことを思っているよ」

『まあ僕らはさておき、それぞれ思うことはあるだろうね』

「ちと人の世に干渉しすぎな気がしなくもないがな」

『これもいい機会なんじゃない? みんな、使用者(ユーザー)に同調してる。正直、あわよくばとか思ってるだろうし』


 頭を抱えた藍に、碧はふっと笑いながら続けた。


『きっと大丈夫だよ』

「何を根拠に」

『白チャンと黒クンが今もここにいないということは、過去と全く同じじゃない』

「…………」

『人の言葉に【歴史は繰り返す】ってあるけど、まだそうはなってない』

「だから何だと言うんだ」

『うん。だからさ、信じてみようよ』

「何を」

『僕らの元へと辿り着いた、根性ある使用者を。それから、芽生えた僕らの、人としての心を』


 少なくとも今自分たちの中には、全うしなければならない思いと同じくらい、強く溢れるものがある――――。


< 336 / 658 >

この作品をシェア

pagetop