青い青い空
「あ、いたいた伊代ちゃーん」
そんな非現実的なことを考えていると、店先にかおんが出てくる。どうやら、今日入れていたシフトについて話をしに来てくれたらしい。
彼女は「あんなことがあったばかりだし」と言いたげな心配そうな顔でこちらの様子を窺っていたが、私にとってそれは、絶好のタイミングに他ならなかった。
「入ります。全然」
「無理はして欲しくないんだけど……」
「無理とかじゃないです。暇なので。何なら一日。夜も入れてください」
「それは有り難いけど……」
「さっきのことだったら全然。もう、全然気にしてないというか。正直それどころじゃないというか。逆に気を紛らわせたいというか」
「あらそう? でも、本当に大丈夫?」
何度も心配そうにそう言うので、大丈夫ったら大丈夫ですと、俯いていた顔を上げた途端、視界いっぱいに入ってきたにっこり笑顔に、慌ててこの場から逃げ出そうとした。
が、かおんに首根っこを掴まれてそういうわけにもいかず。というか、どこから出てくるのその馬鹿力……。
「顔。ものすご~く真っ赤ねえ?」
「ひっ、日に焼けて」
「あとで根掘り葉掘り聞いちゃお~っと。なれそめとか?」
「か、かおんさん。さっきの人とはそう言うんじゃ」
「ふふふ。結婚式、楽しみにしてるわね?」
「~~……ッ。だっ、だから!」
いつもいつも、気が早いって言ってるんですよ!!