青い青い空

 どうして彼がそんなことを言うのか。理由は聞かなかった。

 その笑顔が、聞かないでくれと突き放しているようだったから。



「由良野さん。ありがとうございます」

「感謝する前に、鵜呑みにするなら全部して」

「すみません。ちょっと仰ってることがよく」

「要領悪いからじゃない?」


 ガチャリ。鍵を開けた彼は、先に資料室を出る。


「もう。そこがいいって言ってくれたじゃないですか」

「そうだよ。自己肯定感低い君が泣き付くから」

「泣き付いてません!」

「そうだったっけ」


 言い合いをしながら彼の背中を追い掛けて部屋を出ると、「用事はもう終わったのか」と後ろから声がする。今し方出てきた資料室の方を振り返ると、扉横の壁に腕組みをしながらもたれかかっている編集長がいた。

 どうやら用事があったらしいが、鍵を掛けてしまっていたため中には入れなかったよう。少し不機嫌に見えるのはそのせいだろう。

 慌てて謝っていると、何故か一石はもう一度「用事は終わったのか」と尋ねた。視線は、私の後方にいる由良野へ向けられている。


「一応終わりましたよ。お借りしちゃってすみません」

「そうか。なら次は俺の手伝いをしてくれるか」

「あ、はい。わかりました」


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