青い青い空
「俺、来るなって言ったよな」
びくりと体が震える。振り返ることはできなかった。
「俺には約束させるくせに、おねえさまは約束破ってもいいわけね」
それにどう反応を返せばいいかわからなくて、なるべく小さくなれるように、ぎゅうっと両膝を抱え込んだ。
ため息と同時に、苛立ちを含んだ足音が近付いてくる。小さく小さく、できれば今この瞬間この場所から消えてしまえたらいいのにと。もう嫌われたくないと願いながら、強く強く抱え込む。
回り込んだ足先が、落ちた視界に入る。ごめんなさいと、ぎゅっと目をつぶった。
「もう、どっか回ったのかよ」
けれど次に落ちてきた声は、不機嫌そうでもやさしい音で。
気付けば、さっき糸ちゃんにいろいろ案内してもらった、と返していた。
「あっそ」
「……怒って、ないの?」
「怒ってるに決まってんだろ」
「ご、ごめんなさい」
それでもやさしい声の主は「来ちまったもんは仕方ねえだろ」と、大きなため息を吐くだけ。