青い青い空
「つか、どうせならもっと楽しそうなところにいろよ。こんな何もないとこで座り込んでねえで」と言われ、首を振りながら顔を上げる。
すると目の前の彼は、私の顔を見てぎょっとした。その素直な反応に、酷い顔になっているのがよくわかる。
「私ね、今さっき糸ちゃんに言われて気が付いたの」
眼鏡だけで事足りるだろうかと心配しながら、ゆっくりと言葉にする。
「宵くんと広夜さんからもらった眼鏡。掛けてないのになって」
「んなもん見りゃわかる。つかお前、なんつー顔して」
「座り込んでるんじゃないんだよ。びっくりして、動けなくなったの」
「は? おい。あのクソ女に何かされたのか」
「されてないよ。寧ろしてもらった」
「何を」
だって、彼女に言われるまで気が付かなかった。
眼鏡を掛けていると思えるくらいには、この場所は、無色な世界に色をつけてくれたから。
「……きれいな。あおいそらだね」
私の言葉に、彼は目を瞠った。
「見えるのか」と、揺れる声に、ぽろぽろと涙を流しながら頷いた。ここだけ、どうしてか見えるのと、付け加えながら。