青い青い空
page.76 触れたくて、触れられなくて
「お母さんが死んじゃった時、本当にひとりぼっちになっちゃったと思ったの」
「再婚してすぐだったもんな」
「でも、宵くんがいたから私、どれだけ寂しくても頑張れたんだと思うの」
「俺のせいで嫌な思いいっぱいしたじゃん」
「それ以外にも、宵くんはくれたから」
「……俺が?」
まだ、彼が小さかった頃の話をした。
私のことを、大好きだと言ってくれたこと。それから、ずっと一緒にいてくれると約束してくれたこと。
「宵くんは多分覚えてないだろうけど、私が今こうして宵くんと向き合えてるのは、宵くんがいてくれたからなんだ」
「…………」
「だから、よかったらこれからも、いっしょにいてくれたらうれしいなって……」
「伊代?」
「……お。おもって、ます……」
目から涙はこぼれてくるし、顔だけじゃなくて耳と首まで真っ赤で、それはそれは忙しなかった。
目の前でじっと様子を窺っている彼は、もしかしたらあまりの不細工な顔に言葉を失っているのかも知れない。
それでも彼は、涙が落ち着くまでずっと付き合ってくれた。「落ち着いた?」と、やさしく目元を拭ってくれる指先がやさしくて、思わず顔を隠しながら頷く。
「ごめんね。見苦しいものを見せちゃって」
「んじゃ次俺の番な」
「あ。は、はい。どうぞ」
「まず、そのネガティブ思考をどうにかしろ」