青い青い空
 ♢


“父さんに免じて出て行けとは言わねえ。でも、余計なことはすんな。迷惑なんだよ”


 冷たく言い放った言葉が、耳の奥にずっとこびりついて離れない。


「宵?」

「……ああ。なんだ、帰ってたんだ」


 おかえり父さんと、夕食の準備をしようと腰を上げる。体調が悪いようにでも見えたのか、額に父の手が触れた。

 熱がないのを確認すると、「何かあったのですか」と父は尋ねる。だから答えた。別に? と。


「では、伊代さんと何か?」

「別に。あいつは関係ねえ」

「なら伊代さんに話を伺っても問題ありませんね」

「……問題あるからそっとしといてやって」


 父はいつも目聡かった。仕事柄、家を空けることも多いのに、それでも子供たちの成長を、変化を、逐一見逃しはしなかった。

 何せ父は、こちらが何かを言う前から、彼女の瞳のことに気が付いていたのだから。


「それで? 伊代さんに何を言ったのですか」

「向こうが何か言ったとは思わないわけね」

「では伊代さんが何か言ったのですか?」

「もう一回頑張りたいんだとよ。家族として」

「それはそれは。伊代さんが大好きな宵くんには、相当堪えましたね」

「――ごほっごほっ」


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