あなたに伝えたくて
私たちは、もともと、親しい友達だった。

もし、何年か早くに出逢っていたら、きっと私はこの人を、すぐに好きになっていただろう。

しかし、そうならなかったのは、私がひとつ前の失恋を引きずり続けていたから。

大学1年の頃、必修のフランス語で席が隣になったことが、私たちの出逢い。

彼の第一声は、

「なんだか、とても淋しげな目をしているように見えるのは、俺の気のせい?」

だった。

私は、驚いてしまい、

「え⋯⋯そんな風に見える?」

「うん。何か、辛いことがあるなら、話聞くよ?俺でよければ」

初対面でいきなり、そんなことを言う人なんて、初めてだった。

いつもの私なら、

「もしかして、新興宗教の人かも⋯⋯」

そんな猜疑心で、思わず構えてしまうのに。

不思議なことに、この人になら、失恋の痛手を打ち明けたいと思った。
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