両手でも抱えきれない愛で贖えるものならば
「もう、1ヶ月近く会えなかったよね。いつの間に髪型変わってるし」

そこに気づいてくれて嬉しい。

「どう?変じゃないかな」

それまでは黒のストレートだったが、夏が近づいてきたので、明るい色にして、パーマもかけてみた。

「凄く似合ってるよ」

「よかった、ありがとう」

及川くんの横顔は、ちょっと照れているようだった。

こんなに長く付き合っていても、まだそんな初々しいリアクションの彼もまた好きで。

「私は、体力温存したくて、家で本読んでることが多かったけど、及川くんこそ、どうしてたの?」

「地味な話、模型飛行機作ってたんだ」

「あ、それを海まで飛ばしに行くってことね?」

「うん。なんか、僕の趣味に付き合わせるみたいで申し訳ないけど」

「そんな、いいのよ。だって、何処か行くときは大抵、私に付き合ってくれてるんだから」
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