Special X’mas
不意にそういわれ、恭牙の顔を見ると、またまた笑顔。
目の前をみると、さっき見たはずのクリスマスツリー………。
「なんで?」
「見たかったんだろ……クリスマスツリー」
あぁ……、やっぱり恭牙はとってもいい彼氏だ。
私の事なんて、なんでもお見通しなんだね。
恭牙と繋がっている手にぎゅっっと力を入れた。
そしたら、恭牙は何にも言わないで握り返してくれる……。
こうやっている時間が、私にとって1番好きな時間。
恭牙も私も一切話さないで、ただただツリーを見ていた。
すると……
~♪~♪~♪~
何処からともなく、あのバンドの曲が流れてきた。
まただ……。
「ちょっと待ってろ」
恭牙は、いきなりそう言ってまた何処かへと行ってしまった。
恭牙も好きな曲……、嫌いになっちゃいそうだよ。
ツリーは綺麗だけど、隣に恭牙がいないんじゃ、ちっとも綺麗に見えない。
恭牙がさっきまで握っていた左手は、もう冷たくなっていた。
恭牙……貴方は今、何を思っているの?
私は、寒くなった手を口元に持っていき、白い息を吐いた。
「あら?愛美ちゃん?」