君に捧げるアイラブユー



そうだよね、あの子が濡れなくてよかった。

それは本当で、間違ってない。東は優しいから、困ってる人を放っておけないだけで、それだけの話で、私が勝手に見て勝手に苦しくなってるだけなのに、どうしてこんなにモヤモヤが消えないんだろう。


俯いたまま視線を落としていたら、頭の上から東の声が落ちてきた。



「…どうでもいいよ、ほかの人なんて」



その一言に、一瞬意味が分からなくて思わず顔を上げてしまった。どうでもいい、なんて言葉、東の口から出ると思ってなかった。

私に向けた言葉じゃないって分かってるのに、どこか冷たく突き放されたみたいで胸の奥がざわつく。なんでそんなこと言うの、って言いたかったのに、その前に東が少しだけ視線を逸らして続ける。



「西宮が傘がないって知ってたら、迷わず西宮と帰ってた」



その言葉が落ちた瞬間、息が止まったみたいに喉が詰まる。

なにそれ。ずるい。そんなの、ずるいに決まってる。

でも東はたぶんそんなつもりじゃなくて、ただ事実を言ってるだけで、だから余計にたちが悪い。勝手に意味を拾って、勝手に期待して、勝手に苦しくなってるのは私なのに。


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