君に捧げるアイラブユー
なのに、どうしてこんなにも悔しいんだろう。
胸の奥がじくじくと痛む。
当たり前だ。私より南野さんのほうが東のことを理解している。
一緒に過ごした時間も、見てきた景色も、思い出の数も、きっと比べ物にならない。
私が知らない東をたくさん知っている。私が見たことのない東をたくさん見ている。それだけでも十分羨ましいのに。
私なんてまだ東のことを全部知らない。本当に少ししか知らない。
だから余計に思う。羨ましいって。
その時間が、その距離が、その積み重ねが。
「……それは分かんないんじゃないかな」
気付けば言葉が口から零れていた。自分でも驚く。
何を言ってるんだろう…そんな資格ないのに。でも否定したかった。
『汀は一生私のことは好きにならない』
そんな未来を決めつけるみたいな言葉を。
だって、もしそれを言うなら、私のほうがよっぽど可能性なんてない。
私は東に告白したこともない。特別な存在でもない。南野さんみたいに何年も傍にいたわけでもない。
それなのに、普通なら、南野さんが振られたと聞いて、少し安心するべきなんだろう。喜ぶべきだったのかもしれない。だってライバルが負けたようなものだから。
私にもまだチャンスがあるって。そう思えたはずだから。