君に捧げるアイラブユー



………でも、大丈夫じゃないのも本当だよ、東。


繋がれた左手。東の体温。優しい声。全部が、私を苦しくする。


足首よりも心臓のほうが何倍も痛い。好きすぎて苦しい。優しくされるたび、期待してしまう自分が苦しい。




無言のまま階段を降り続ける。


東は急かさず、ずっと私に合わせてくれていた。その沈黙さえ嫌じゃなかった。

むしろ心地よくて、ずっとこのままでいたいって思ってしまうくらいだった。



でも、階段は永遠じゃない。最後の一段が近づいてくる。あと、一段。

それを降りたら終わる。手も離れる。東はまた、いつもみたいに遠くなる。

そう思った瞬間、急に怖くなった。


嫌だ。終わってほしくない。

私は最後の段差の前で、ぴたりと止まった。



「西宮どうした?」



東が少し不思議そうに私を見る。その声に、胸がどくんと鳴る。

今しかない。今を逃したら、また東は離れていく。


もう2週間みたいな時間を過ごすのは嫌だった。怖かった。だから私は、逃げたくなくて。逃がしたくなくて。


< 61 / 355 >

この作品をシェア

pagetop